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京都地方裁判所 昭和49年(わ)1124号 判決

本籍

京都市中京区三条通新町西入釜座町一八番地

住居

同市同区六角通小川東入本能寺町一〇七番地

茶道具製造販売

大西益三郎

大正一三年一〇月三一日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官忠海弘一出席のうえ審理して次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年および罰金二、五〇〇万円に処する。

右罰金を完納できないときは金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、京都市中京区三条通新町西入釜座町一八番地において、茶道用釜及びこれに付随する茶道具類の製造販売業を営んでいるものであるが、所得税を免れようと企て、

第一、昭和四六年分の総所得金額は四九、二九四、六五一円で、これに対する所得税額は二六、三七五、四〇〇円であつたのに、公表経理上売上金の一部を除外し、右除外金により架空名義で有価証券を取得するなどの不正な方法を用いて所得を秘匿したうえ、昭和四七年三月一〇日京都市中京区柳馬場二条下ル等持寺町所在の所轄中京税務署において、同税務署長に対し、同年分の総所得金額は一、六七一、三二九円で、これに対する所得税額は一〇三、七〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同年分の正当な所得税額と申告にかかる所得税額との差額二六、二七一、七〇〇円を免れ、

第二、昭和四七年分の総所得金額は五二、九四一、五四三円で、これに対する所得税額は二八、六一五、七〇〇円であつたのに、前同様の不正な方法を用いて所得を秘匿したうえ、昭和四八年三月九日前記中京税務署において、同署長に対し、同年分の総所得金額は一、七六八、一七二円で、これに対する所得税額は一〇八、三〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同年分の正当な所得税額と申告にかかる所得税額との差額二八、五〇七、四〇〇〇円を免れ、

第三、昭和四八年分の総所得金額は八二、九九七、三六二円で、これに対する所得税額は四九、三二七、八〇〇円であつたのに、前同様の不正な方法を用いて所得を秘匿したうえ、昭和四九年三月八日前記中京税務署において、同署長に対し、同年分の総所得金額は三、一六四、八五五円で、これに対する所得税額は三八二、〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同年分の正当な所得税額と申告にかかる所得税額との差額四八、九五四、八〇〇円を免れ、

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人の当公判廷における供述

一、収税官吏作成の被告人に対する質問てん末書一三通(検甲第三五ないし第四七号)

一、被告人の検察官に対する供述調書(検甲第四八号)

一、中京税務署長作成の証明書三通(いずれも各添付の所得税申告書写とも)(検甲第二ないし第四号)

一、収税官吏作成の現金預金有価証券等現在高検査てん末書(検甲第五号)

一、大和証券京都支店長作成の確認書(添付の書面帳簿等写とも)(検甲第六号)

一、収税官吏作成の査察官調査書一一通(検甲第九ないし第一一、第一三、第一五、第一七、第一九、第二一ないし第二三、第二六号)

一、大西繁子作成の被告人の確認書二通(検甲第七、第一二号)

一、被告人作成の確認書(検甲第八号)

一、金田誠作成の被告人の確認書六通(検甲第一四、第一六、第一八、第二〇、第二四、第二五号)

一、収税官吏作成の高橋昌博(二通)、前嶋光、首藤繁、大西繁子に対する各質問てん末書五通(検甲第二八ないし第三二号)

一、大西繁子の検察官に対する供述調書(検甲第三三号)

一、押収のメモ一綴(昭和五〇年押第六一号の一)

(法令の適用)

判示各所為につきいずれも

所得税法二三八条一項(懲役と罰金を併科し、罰金の多額は同条二項により各免れた所得税額に相当する金額とする)

判示各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから

懲役刑につき、刑法四七条本文、一〇条(判示第三の罪の刑に加重)

罰金刑につき、刑法四八条二項

労役場留置につき、刑法一八条

懲役刑の執行猶予につき、刑法二五条一項

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 家村繁治)

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